こんにちは こなゆきです
最近の円安で、すっかり海外から足が遠のいたという方も多いかと思いますが、円安の今でも十分に楽しめるのが、東南アジアです
そして、その中でも歴史や文化が多岐にわたり、見所が多いのがベトナム
コロナ禍後は、観光ビザなしの滞在が45日間に延長されたので、定年したシニア世代の旅行先やワーケーション先として、とても人気です
国土が広いので、北部、中部、南部それぞれに異なる魅力があり、45日間のビザでは足りないほど!
今回は、世界遺産に登録されたグエン朝王宮の建物群がある「フエ」について、お知らせします
フエ旧市街地のみどころ
旧市街地と新市街地が、フーン川を挟んで向かい合っているフエ
ダナンからも、日帰りツアーで訪れることができます
が、実は見どころがいっぱいなのが、フエなんです
旧市街地には、世界遺産に登録されている「グエン(阮)朝王宮(Dai Noi)」があり、多くの観光客を魅了しています
ダナンからのツアーが多い印象の「ミーソン遺跡」も、フエからの方が近く、料金も割安になるのです
まずは、フエ旧市街地の情報から紹介します
グエン朝とは
フエ旧市街地は、グエン朝王宮です
1802年〜1945年、143年間も中部ベトナムを支配したグエン朝は、13代続きました
初代皇帝のザーロン帝が築いた城は、城壁が高さ6m、東西約642m、南北約568m に囲まれています
グエン朝の歴代皇帝
第1代皇帝 ザーロン帝(1802〜1820)
第2代皇帝 ミンマン帝(1820〜1841)
ミンマン帝は、たいへん聡明な皇帝として、今でも人々のに尊敬され、ミンマン廟へのお参りが絶えません
第 3代皇帝 ティエウチ帝(1841〜1847)
第 4代皇帝 トゥウドゥック帝(1847〜1883)
第 5代皇帝 ズウドゥック帝(1883)
第 6代皇帝 ヒエップホア帝(1883)
第 7代皇帝 キエンフック帝(1883〜1884)
第 8代皇帝 ハムギー帝(1884〜1885)
第 9代皇帝 ドンカイン帝(1885〜1889)
第10代皇帝 タインタイ帝(1889〜1907)
第11代皇帝 ズイタン帝(1907〜1916)
第12代皇帝 カイディン帝(1916〜1925)
カイディン帝は、他の皇帝と同じ扱いを嫌い、自分の墓となるカイディン廟を建てるために、世界各地から名品を集めて贅の限りを尽くしたことで知られています
パオダイ帝(1925〜1945)
バオダイ帝は若くして、父親であるカイディン帝の跡を継ぎましたが、まだ留学先のフランスで政権学を学んでいる途中に、国勢が不安定になり、帰国を余儀なくされました
帰国後すぐに、ベトナム戦争に勝利した北ベトナム軍政権に政権を渡しました
グエン朝王宮
まず、城壁に入る前に目に入るのが、立派な旗塔です
こんなに大きな旗が、はためくのか…と思うほど強い風が、旧市街地を吹き抜けるので、王宮内は植えられた木々と吹き抜ける風で、涼しく快適なのが、このグエン朝王宮です
しかし、この涼しさが後に、この皇族を苦しめることになるなんて…
グエン朝王宮は、中国の紫禁城を模して建築されたといわれています
そのいわれの通り、門をくぐり、堀を渡るとすぐに見えるタイホア殿の前には、広場があります
ノー門(王宮門)Ngo Mon
チケットを購入して、門をくぐりますが、それが王宮門の「ノー門」です
大きな門をくぐり抜けるときに天井を見上げると、大きな木製の扉を支えているかんぬきの石を見ることができます
石のかんぬきの大きさに驚くと同時に、同様のかんぬきが、王宮の至る所に残っていることにも感動します
門をくぐったら、目の前に橋がありますが、渡るのはちょっと我慢して、ノー門に登ってみてください
門の上からの景色に、圧倒されるとともに、吹き抜ける風と壁に展示されているグエン朝の資料に、時を忘れること間違いありません
実際に、この門の2階部分で涼みながら、1時間過ごしてしまう人が、とても多いんです
悠久の王朝に思いを馳せて、フエの街を眺めて時間を過ごしてみませんか
タイホア殿(大和殿)No Dien / Dien Tai Hoa
タイホア殿そのものも、初代皇帝のザーロン帝の時代に、紫禁城の大和殿を模して建築されました
しかし、ベトナム戦争中に南ベトナム軍の拠点の一つとして使用されたことで、1968年に完全に破壊されました
現在あるのは、1970年に再建された建物です
2024年現在、補修工事中のためにシートに覆われていて、外観、内装ともに見学することができません
テートー廟(世相朝)The Ti Mieu
グエン朝の菩提寺です
グエン朝の菩提寺には、13人の皇帝のうち10人の位牌が祀られています
菩提寺に祭られている皇帝たちは、神格化されており、信仰の対象となっているのです
この菩提寺に祭られていないのは、第5代皇帝のズウドゥック帝(1883)、第6代皇帝のヒエップホア帝(1883)、そしてグエン王朝最後の皇帝となったパオダイ帝(1925〜1945)です
第5代皇帝と第6代皇帝が、政権を握ったのは1年に満たず、第13代皇帝のバオダイ帝は、政権を返上する際に「人間宣言」をしているから、であると考えられています
ヒエン・ラム・カック(水晶閣)
1821年〜1822年に建築された建物です
3本足の鼎(かなえ)
テートー廟とヒエン・ラム・カックの間の広い広間に、さり気なく置かれている鼎(かなえ)
高さ1.5m
口径1.4m
重さ2.5トン もあります
2013年に国宝に指定され、ベトナムの四季折々の花が表現されています
雨水などが溜まっているはずなのに、中の水が濁っていないのが不思議です
ジェント宮(延寿宮)Cong Dien Tho
初代皇帝ザーロン帝の母親の住居でした
ザーロン帝が1804年に建築させた、と言われています
王宮の片隅に、ひっそりと建てられているさまは、皇帝は神格化されている一方、皇太后は人間として考えられていることと、関係があるのでしょうか
ロイヤルシアタ(閲是堂)Nha Hat Duyet Thi Duong
皇族だけが鑑賞できたといわれる「ニャーニャック(雅楽)Nha Nhac」が上演されています
ニャーニャックは、中国の歌劇のような雅楽です
運が良ければ、200,000ドンで鑑賞できます
ヒューヴー(右廳)Huu Vu
高級官使(武官)の詰め所でしたが、いまは王宮のメインである「タイ・ビン・ラウ」に向かう、長い廊下の始まり、といった感じになっています
ダーヴー(左廳)Ta Vu
高級官使(文官)の詰め所でしたが、いまは、ヒューヴーとともに、王宮のメインである「タイ・ビン・ラウ」に向かう、長い廊下の始まり、といった感じになっています
どちらも、とても雰囲気があり、人気の撮影スポットです
チューンサン宮(長生宮)Cung Truong Sanh
1882年(第2代皇帝ミンマン帝)に建築され、その頃は「チューンニン(長寧宮)といわれていた 1886年ごろから皇太后の住居となったそうです
1923年(第12代皇帝カイディン帝)で、現在の呼び方になりました
タイ・ビン・ラウ(太平楼)Thai Binh Lau
グエン朝王宮の中でも、ひときわ煌びやかで目を引く建物
第3代皇帝ティエウチ帝が、書斎として建築させた木造建築物です
建物の外壁にも、内装にも、陶器やガラスをちりばめたモザイク画があり、その美しさには目を見張ります
国中の優秀な職人を集めて、作らせたと言われています
中にある家具や、装飾も大変美しく、日本の迎賓館のような品格を漂わせています
フラッグ・タワーKy Dai
グエン王朝の城壁の中央にそびえたつ、フラッグタワーは、初代皇帝の時代に建築された木造建築物として旗塔です
嵐や戦争で破壊されたため、1969年に、鉄筋コンクリートで再建されました
大砲(九位神公)Cuu Vi Than Công
グエン朝王宮の、外堀と門をくぐるとまず目に入るのが、この大砲です
初代皇帝が造らせた9台の大砲ですが、一度も使われたことがないといわれています
南東に四季(春夏秋冬)を、北西に中国の五行思想(木火土金水)を表しており、王宮を守っていると信じられています
グエン朝は13代続いた王朝だけに、その歴史も奥深いんです
せっかく世界遺産の旧市街地やグエン朝王宮に行くなら、ガイドさんにきちんと説明してしてもらうのがおススメ 一人で見学するよりも、ずっと理解が深まります
フエ郊外の見どころ
フエ郊外には、歴代皇帝を祭る廟があります
それぞれの廟には、皇帝の人柄をしのばせる雰囲気があり、その違いを感じるのも面白いと思いま
湖のあるステキな公園のような、とても穏やかな廟です
とても広いのですが、所々に涼む場所があり、ゆっくり散策しながら、皇帝にあいさつに行くことができる造りになっています
ミンマン帝の、聡明で穏やかな人柄が、そのまま表されているような場所です
トゥウドゥック帝廟(第4代皇帝)Lang Ty Duc
小ぶりだけれど、趣向が凝らされた池がある廟です
建物や門のつくりも美しく、やはりモザイク画が目を惹きます
養子であり第6代皇帝であったヒエップホア帝の廟や皇后の廟もある集合廟です
敷地内には、王朝の衣装を着た若い女性の姿が多く、記念撮影の名所として知られています
この廟で結婚写真を撮る新婚夫婦も多く、敷地内のあちこちで仲睦ましい姿を見ることができます
カイディン帝廟(第12代皇帝)Lang Khai Dinh
世界中の名品を集めて造られた、ぜいたくな廟です
他の皇帝の廟が、平地にあるのに対して、カイディン帝の廟は山の斜面に建てられ、地元の村々や、他の皇帝の廟を見下ろしているかのようです
民の怒りをかい、グエン朝が倒れたのは、カイディン帝が散財して国政が不安定になったから、ともいわれています
一番高いところに立っている廟の内部も、たいへんきらびやかです
陶器やガラスを砕いて作ったモザイク画は、国中の優秀な職人の手で作られたと言われており、今でもしっかりと壁を装飾しています
この建物のモザイク画に使用されているガラスは、全て、当時最高品質と言われていた日本製のガラスであると言われています
廟の至る所に置かれた龍の目は、全てこのガラスでできています
廟の中心部に置かれた、金のカイディン帝の姿は、今も煌びやかですが、庭の士官などの像や門の装飾が傷んでいる様が、悲哀を感じさせます
アンディン宮(安定宮)Cung An Dinh
1917年に、カイディン帝の離宮として建築されました
川のほとりに建てられており、フランス風の洋館です
庭がとても美しく、全くスケールが異なるのですが、そこはかとなくベルサイユ宮殿の庭を思い出させてくれる、そんな雰囲気のお庭をもつ洋館です
フランス風の内装が、中国様式を取り入れたベトナムの建築物と素晴らしい調和を見せています
道を挟んで残されている船着場にも、歴史を感じることができます
フエ大教会Nha Tho Dong Chua Cuu The
アメリカの援助を受け、フランスをはじめとするヨーロッパの建築様式とベトナムの建築様式を織り交ぜて、1959-1962年に建築されました
外観がとても美しく、夕刻には夕陽の色に染まります
フエの料理
フエは、長く朝廷があったため、王宮料理がとても素晴らしいんです
また、高級官僚なども多かったため、庶民の料理もどことなく品があります
写真右上から
①チャー・ヨーは、南部では揚げ春巻きのことを指します
中身は、ひき肉のことが多いようです
②ゴイ・クオンは、生春巻きのような食べ物です
お店独自のタレにつけて、いただきます
それぞれのお店が、趣向を凝らしたタレを提供していますので、いろいろなお店のゴイ・クオンを楽しんでくださいね
③突き出しとして提供される生野菜は、キム・ヌオンなどを春巻きの皮に巻き付けるときに添えてもいいし、春巻きの皮の代わりに使ってもいいようです
④キム・ヌオンは、豚肉のひき肉を、レモングラスの串に巻き付けて焼くBBQ料理です
BBQ風味のお肉と肉汁が、レモングラスの香りで爽やかさを得て、何ともクセになる料理です
⑤グオン・フエは、お店によって中身が違うようですが、エビとひき肉を、米粉の皮で軽く包み、蒸しエビや鶏肉のデンブを散らしていただきます
これも、お店のタレを受けていただくことを、勧められることが多いようです
⑥フエのバイン・セオは、小ぶりで油で揚げているのが特徴です
これも、おなじくお店自慢のタレをつけて、いただきます
⑦そして、フエ料理の代表ともいえる、バイン・ベオ
小皿ごと蒸してあり、バイン・ベオ専用のタレを、スプーンですくって小皿に入れていただきます
日本のわんこそばのようで、何皿でも食べられてしまうので、キケンです
食べやすいフエ料理を提供してくれるのは、「クアン・ハン Quan Hanh」と「マダム・トゥ Madam Thu」というお店
どちらも、フエの新市街地にある観光客に人気のお店です
フエの宿
これだけ見どころが多いと、日帰りでは、すべての世界遺産を見て回ることはできません
フエの世界遺産は、2日券がありますが、2日ですべてを見て回るのも大変かと思います
フエは、落ち着いた旧市街地と広々とてキレイな新市街地の距離が近く、週末には夜市や歩行者天国もあります
また、フエならではのベトナム料理もあるので、ゆっくり宿泊しながら、世界遺産を巡るのもいいと思います
おススメは、フーン川沿いのホテルです
Hotel Saigon Morin
フエで最も歴史が古い老舗ホテルです
グエン朝王宮を眺めたり、プールで涼んだり、目の前のフーン川に架かるチュオン・ティエン橋を渡って市場に出掛けたり、新市街地へ足を延ばしてみたり、フエの魅力を色々な角度から楽しむことができます
Moong Thang Holiday Hue
フーン川添いの公園の向かい側にある、白いホテルです
市内巡回バスの乗り場にも近く、旧市街地や市場へも徒歩圏内なので、とても便利で、新市街地らしい都会をイメージしたフロントもステキ
Azerai-La Residence Hue
フエを代表する5ツ星ホテルで、各国の要人も宿泊します
フーン川を望む広い敷地に建っていて、目の前はグエン朝王宮です
少し川にせり出しているので、チュン・ティエン橋もよく見えます
値段は、500万ドン(日本円で約3万2千円)と、為替の利を生かしてお泊りするのもいいと思います